兄弟から「ちょっとお金貸して」と言われたとき、「兄弟にお金を貸すのはいくらまでが妥当なんだろう」「兄弟にお金を貸すいくらまでならトラブルにならない?」とモヤモヤしている人は多いと思います。特に、兄弟に20万円や50万円といったまとまった額を頼まれたとき、「家族にお金を貸すいくらまでが相場なのか」「返さない兄弟だったらどうしよう」と不安になりますよね。
さらにややこしいのが、税金や法律の問題です。例えば、兄弟にお金を貸したつもりなのに、返済がなくて実質的にあげた形になってしまうと、贈与税の対象と判断されるケースがあります。年間110万円までは贈与税がかからないというルールや、生活費の援助と借金の線引き、家族間の借用書の書き方なども、知っておかないと損をしがちなポイントです。
このページでは、トピック ブレンド編集部の視点から、「兄弟にお金を貸すいくらまでが現実的な上限なのか」「どこからが貸さないほうがいいラインなのか」「返さない兄弟への対応や、角が立たない断り方」まで、できるだけ具体的にお伝えしていきます。読み終わるころには、自分の家庭ではどこまでなら貸してもいいか、逆にどこからはきっぱり断るべきかが、かなりクリアになるはずです。
もちろん、ここでお話しする金額や考え方はあくまで一般的な目安です。最終的には、兄弟との関係性やあなた自身の家計状況も含めて判断していく必要があります。そのうえで、「感情だけで決める」のではなく、「兄弟にお金を貸すいくらまでなら自分も後悔しないか」を一緒に整理していきましょう。
この記事4つのポイント
兄弟にお金を貸すのはいくらまでならOK?目安は?

最初のパートでは、「法律的にはいくらまで貸せるのか」「現実問題としてどこまで貸すのが安全か」という、ベースの考え方を整理します。兄弟に貸すお金の上限目安から、返さない場合のトラブル、贈与税と110万円の基礎控除まで、ざっくり全体像をつかんでおきましょう。
兄弟に貸すお金の上限目安
まず押さえておきたいのは、兄弟にお金を貸すいくらまで、という「法律上の上限」は決まっていない、という点です。契約自由の原則があるので、当事者同士が合意すれば、1万円でも1000万円でも、兄弟間でお金を貸すこと自体は可能です。
ただし、「法律上貸せる金額」と「現実的に貸していい金額」は別の話です。私が目安としていつもお伝えしているのは、次の2つの軸で考えることです。
- 兄弟の収入や支出からみて、「無理なく返せる金額」かどうか
- 自分の生活に照らして、「返ってこなくても生活が破綻しない金額」かどうか
ざっくりしたイメージとしては、相手の月収の1〜3か月分を上限の目安にしつつ、自分側の貯金から「最悪ゼロになっても生活や老後が揺らがない範囲」にとどめるのが現実的かなと思います。
例えば、相手の手取りが月20万円で、すでに他にも借金があるようなら、50万円や100万円単位で貸すのはかなり危険ゾーンです。一方、自分の貯金が300万円しかないのに、兄弟に100万円を貸すとしたら、返ってこなかった場合のダメージもかなり大きくなります。
「兄弟だから」「困っているから」の気持ちも大事ですが、数字の現実も同じくらい冷静に見てあげることが、お互いを守ることにつながりますよ。
返さない場合のリスクとトラブル
兄弟にお金を貸すいくらまでが安全かを考えるうえで、「返してもらえなかったとき」のリスクもイメージしておく必要があります。金額が大きくなるほど、次のようなトラブルは起きやすくなります。
実際、家族間のお金のトラブルがこじれて暴力沙汰や刑事事件にまで発展したケースも、ニュースでは珍しくありません。感情がからみやすいからこそ、いったんこじれると関係修復がとても難しくなります。
そしてもうひとつ怖いのが、税金や相続の場面で火種になるパターンです。返済のないまま貸し手が亡くなると、その「貸付金」も相続財産とみなされ、他の兄弟から「実は生前に多く援助してもらっていたのでは」と指摘されることがあります。
こうしたリスクを考えると、「貸す=お金を移動させる」だけではなく、兄弟との関係を長い目で見て守る行為でもあると意識したいところです。貸す金額を決めるときは、「もし返ってこなかったら、自分はこの人とどう付き合っていきたいか」も一緒に想像してみてください。
贈与税と110万円の非課税枠
兄弟にお金を貸すいくらまで、と考えるとき、もう一つ欠かせないのが贈与税の考え方です。日本では、1年間(1月1日〜12月31日)に個人からもらった財産の合計が110万円を超えると、その超えた分に対して贈与税がかかる仕組みになっています。
「貸しているだけなら贈与税は関係ないでしょ?」と思われがちですが、次のような条件が揃うと、税務署から「これは贈与ですね」と判断されることがあります。
たとえば、「返済の当てもない兄弟に、返済計画も決めずに何百万円も渡した」「貸したけれど、その後『返さなくていいよ』と言ってしまった」ようなケースは、実質的にお金をあげた(=贈与した)とみなされるリスクが高くなります。
一方で、税務上は年間110万円までの贈与は基礎控除の範囲内として非課税扱いになります。ただし、兄弟間の贈与は親子間のような特例があまりないため、「住宅資金の特例」などがそのまま使えないことも多い点には注意が必要です。
このあたりのルールは、国税庁の最新情報や税理士の解説で細かく変わる可能性もあります。正確な情報は公式サイトをご確認ください。また、大きな金額のやりとりになる場合は、最終的な判断は税理士など専門家にご相談ください。
家族の生活費援助と借金の線引き
兄弟にお金を渡すとき、「これは生活費の援助?それとも貸しているお金?」という線引きも重要です。国税庁は、夫婦や親子、兄弟姉妹といった扶養義務者からの生活費や教育費で、通常必要な範囲のものについては贈与税をかけないとしています。
ただし、ここでいう生活費は「その都度、生活に必要な分を渡す」イメージです。例えば次のようなケースはどうでしょうか。
- 家賃が払えない兄弟に、毎月の家賃分だけを振り込んであげる
- 一時的に仕事を失った兄弟に、3か月分の最低限の生活費だけを援助する
これらは、状況にもよりますが、生活費の援助として扱われることが多いパターンです。一方で、
- 生活費の名目で多額の現金を渡し、そのまま貯金や投資に回している
- 「いつか返すから」と言われて生活費以上の大金をまとめて渡す
といったケースでは、後から贈与と判断されるリスクがあります。また、「生活費の援助」と「借金」を混ぜてしまうと、兄弟本人も「どこまでが返すべきお金なのか」が分からなくなり、関係がこじれやすくなります。
生活費の援助なのか、ちゃんと返してもらう前提の借金なのかは、最初にハッキリラベリングしておくのがポイントです。どちらなのか自分でもよく分からないまま渡すと、後でほぼ間違いなくモヤモヤします。
相場より多額を貸すときの注意
兄弟にお金を貸すいくらまで、という話になると、「相場は何万円くらいですか?」と聞かれることがよくあります。もちろん家庭によって違いますが、ネット上の体験談などを見ていると、
という感覚で語られることが多い印象です。どのゾーンになるかによって、求められる慎重さも変わってきます。
特に100万円を超えるような金額を兄弟に貸す場合は、贈与税のリスクだけでなく、「返済が滞ったときに自分の家計がどうなるか」をシビアに見てください。返済の見込みが薄いのに見栄や情だけで出してしまうと、その後の人生設計にまで響きかねません。
また、兄弟への貸し借りがギャンブルや浪費の穴埋めになっている場合、そのお金はただの「延命措置」にしかならないことが多いです。必要性や用途があいまいなまま高額を貸してほしいと言われたときは、「貸さない勇気」も選択肢に入れておいた方が、長い目で見るとお互いのためになることも少なくありません。
ここまでが、兄弟にお金を貸すいくらまでが妥当かを考えるための「土台」の部分です。次のパートでは、具体的なやり方や断り方など、もう一歩踏み込んだ実践編を見ていきます。
兄弟にお金を貸すいくらまでが妥当か

ここからは、「じゃあ実際にどう動けばいいの?」という実務寄りの話です。借用書や利息の決め方、返さない兄弟への対応、旦那経由・義理の兄弟への貸し方、そして角を立てずに貸さない選択をするためのコツを、一つずつ整理していきます。
借用書と利息を決めるポイント
兄弟にお金を貸すいくらまでに関わらず、金額が10万円を超えるような貸し借りなら、借用書(または金銭消費貸借契約書)は作っておくことをおすすめします。家族間でも、口約束だけだと「本当に貸し借りだったのか」「返済の約束があったのか」が第三者から分かりにくく、税務上もトラブルの元になりやすいからです。
借用書に必ず書いておきたい項目
利息については、家族間ですから無理に高い金利を設定する必要はありません。ただし、完全な無利息にすると、「本来払うはずだった利息分をタダで受け取っている」とみなされ、利息相当額が贈与と判断されるケースもあります。
目安としては、「住宅ローンなど市中の金利より少し低い程度」の金利を設定しつつ、実際には返済の中で柔軟に調整していく、くらいのスタンスで良いケースが多いです。
また、返済はできるだけ銀行振込で行い、通帳や明細という「記録」を残しておくことも大切です。現金手渡しだと、後から「本当に返済があったのか」が分からず、税務署から贈与と見なされやすくなってしまいます。
返済しない兄弟への対応と催促
残念ながら、「約束通りに返してくれない兄弟」は一定数います。兄弟にお金を貸すいくらまでを慎重に決めても、返済がうまくいかないことは起こり得ます。そのときの対応ステップを、感情的になりにくい順番で整理しておきましょう。
ステップ1:状況を聞き、返済計画を見直す
まずは、「約束と違うけど、何かあった?」と、相手の事情を聞くところから始めます。失業や病気など、本当にどうしようもない事情があるかもしれません。そこで、
といった形で、現実的な新しい返済計画を一緒に作り直すのも一案です。
ステップ2:書面で約束を残す
何度か話し合っても返済が進まない場合は、内容証明郵便で「いつまでに、いくら返してほしいか」を正式に伝えるという手段もあります。これは法的な催告としての意味を持ち、後々の証拠にもなります。
ステップ3:法的手段を検討する
それでも全く動きがない、金額が大きくて諦めきれない、という場合は、簡易裁判所での少額訴訟など、法的手段も視野に入ります。ただし、裁判で勝訴しても相手に支払い能力がなければ、実際にお金が戻ってくるとは限りません。そのうえ、兄弟関係はほぼ間違いなく決定的に悪化します。
現実的には、「勉強代だと思って諦める」「二度と貸さない代わりに距離を置く」といった選択をする人も多いです。どこまで追いかけるかは、お金そのものより、自分の心と生活を守るためのラインで考えてみてください。
なお、暴力や脅しが絡む場合は、早めに警察や弁護士に相談し、自分と家族の安全を最優先にしてください。
義理の兄弟や旦那経由で貸すとき
「義理の兄弟にお金を貸してほしいと頼まれた」「旦那の兄弟に貸す話が出ている」というケースもよくあります。この場合、ややこしくなるポイントが増えるので、さらに慎重さが必要です。
こうしたときに大事なのは、まず夫婦でしっかり話し合い、「貸す・貸さない」の方針と上限額を一致させることです。どちらかが勝手に「うちが出すって言っちゃったから」と決めてしまうと、後で不満が噴き出しやすくなります。
義理の兄弟に貸す場合でも、借用書を作る、返済は振込にして記録を残す、といった基本は同じです。むしろ血縁が薄いぶん、「家族だから分かってくれるよね」という甘えを避けるためにも、形式は少し厳しめくらいでちょうどいいと感じます。
ちなみに、義理の家族とのお金トラブルがこじれて、家庭内別居や離婚に発展するケースもゼロではありません。お金の問題が家庭全体のトラブルに発展していると感じたら、家庭内でお金が無くなるトラブルと相談先の解説のような情報も参考にしつつ、早めに第三者や専門家の力も借りてほしいところです。
貸さない選択と角が立たない断り方
兄弟にお金を貸すいくらまでかを考えた結果、「今回は貸さない方がいい」と判断することもあるはずです。そのときに悩むのが、「どう断るか」。ここは、言い方次第でかなり印象が変わります。
理由は「あなたのため」と「自分の状況」のセットで伝える
単に「無理」「貸せない」とだけ言われると、相手は拒絶されたように感じてしまいます。そこで、
といった形で、「自分の状況」と「相手を思っての判断」であることを、一緒に伝えるのがおすすめです。
代わりにできるサポートを提案する
完全に突き放すのではなく、
といった「お金以外の手助け」や「返ってこなくてもいい範囲の少額援助」を提案するのも一つです。
特に、ギャンブルや浪費が原因のお金の無心に対しては、貸さない選択の方が長い目で見ると相手のためになることも多いです。「貸さないのは冷たい」のではなく、「これ以上問題を大きくしないための線引き」と考えてみてください。
また、兄弟だけでなく他の家族にも同じような「金の無心」をしている気配がある場合は、家族会議を開き、「誰も安易に貸さない」ことを共有しておくと、二次被害を防ぎやすくなります。
兄弟にお金を貸すいくらまでか総まとめ
最後に、兄弟にお金を貸すいくらまでが妥当なのか、ここまでのポイントをギュッとまとめます。
兄弟にお金を貸すいくらまでが正解かは、家庭や状況によって本当にバラバラです。ただ一つ言えるのは、「家族だからなんとかなるだろう」とノリで決めてしまうと、後からお金以上に大きなものを失うリスクがある、ということです。
この記事でお伝えした考え方やチェックポイントをもとに、まずはあなた自身の家計や価値観、兄弟との関係を一度じっくり見直してみてください。そのうえで、「このラインを超える金額は出さない」「借用書と振込記録がない貸し借りはしない」といった自分なりのルールを持っておくと、いざというときにブレにくくなります。
最後に大事なことをもう一度だけ。ここで紹介した内容は、あくまで一般的な情報と目安に過ぎません。税金や法律に関わる判断は、最新の制度や個別事情によって結論が変わる場合もあります。正確な情報は必ず公式サイトや公的機関で確認し、具体的な金額や手続きについては、最終的な判断を税理士・弁護士など専門家にご相談ください。それが、あなた自身と家族を守る一番確実な方法だと、トピック ブレンド編集部として強く感じています。


