エピフォンとギブソンの違いを、音・仕様・価格・製造背景まで徹底比較。
モデル別の選び方、失敗しない試奏チェック、改造で伸びるポイントも解説。
購入前に読むだけで迷いが消えます。
エピフォンとギブソンの違いを一言で言うと?

「量産最適化で手に取りやすいエピフォン」と「伝統仕様と素材選別に投資したギブソン」。
この方向性の違いが、価格・仕上げ・サウンドの余裕感に表れます。
とはいえ近年のエピフォンは「Inspired by Gibson」ラインで設計が大幅に近づき、実用面では“用途次第で十分代替可能”というのが正直なところ。
最後は手触りと音の“厚み/艶”をどう評価するかが決め手になります。
ざっくり比較表(用途・価格・音・塗装・パーツ・リセール)
項目 | Epiphone(エピフォン) | Gibson(ギブソン) |
---|---|---|
価格帯 | 手に取りやすい〜中価格帯 | 中〜高価格帯(USA/CS) |
製造 | 主に海外工場(中/印など)※一部例外 | USA(Nashville/Bozeman 他) |
塗装 | 主にポリ系(耐久・均質) | 主にニトロセルロース(薄く響きやすい傾向) |
パーツ | 自社/汎用グレード(ProBucker等) | USAグレード(Burstbucker等)、電装も高品位 |
音 | 目的に十分、やや圧縮感/まとまり | 倍音の伸び・アタックの立ち・抜けに余裕 |
個体差/QC | 年式でばらつくが安定傾向 | 選別と検査が厳しめ |
リセール | 穏やか | 強い(モデルに左右される) |
どんな人がどちらを選ぶべきか(3タイプ別)
- はじめての本格機/サブ機重視:コスパと取り回しでエピフォン。演奏/録音に即戦力。
- 一本で長く付き合い育てたい:経年変化や質感重視ならギブソン。
- 現場での確実性/リセールも考慮:メイン機はギブソン、セカンド機はエピフォンの併用が効率的。
ブランドと製造背景の違い

歴史とブランドポジション
エピフォンはギブソン傘下の兄弟ブランド。
設計思想を共有しつつ、より広い価格帯で裾野を支える役割を担います。
ギブソンはアメリカ発の老舗として、伝統仕様・音の理想形の提示を担当。
両者は対立ではなく、補完関係にあります。
製造国・工場体制の違い
ギブソンは主にUSA製造で、素材選別や加工工程にコストを投下。
エピフォンは海外工場中心で量産最適化により価格を抑えつつ品質を安定化。
年ごとの改善も速く、近年は仕上げがかなり向上しています。(※限定的にUSA製エピフォンも存在しますが、流通は少数派)。
「Inspired by Gibson」ラインとは?
シェイプ・角度・電装値などをGibson寄りに再設計したシリーズ。ネックアングルやヘッド形状、パーツ配置が近づき、弾き替え時の違和感が小さいのが特徴。まずはここから選ぶとハズしにくいです。
価格差の正体|コスト構造と品質管理

木材選別・塗装・組み込み工程の違い
ギブソンは木材のグレーディングやニトロ塗装の工程に手間をかけます。
薄い塗膜は響きの開放感をもたらしやすい一方、手入れや取り扱いに気を遣う側面も。
エピフォンはポリ系塗装で耐久性と均質性を重視し、温湿度変化にも比較的タフです。
パーツグレード(ピックアップ・ポット・ブリッジ・ナット)
エピフォンのProBuckerや新世代P-90は実戦的で、録音でも十分通用します。
ただ、ギブソンのBurstbucker/490/498系は倍音の“気持ちよさ”やピッキングニュアンスの追従で一段上に感じる人が多い傾向。
ポット/コンデンサー値の精度やナット/ブリッジの素材と仕上げも微差を積み上げます。
個体差と品質検査(QC)の考え方
エピフォンは量産最適化で個体差が小さく扱いやすい。
ギブソンは素材選別の幅がある分、当たり個体は別格の鳴りを見せます。
どちらも年式ごとのQC傾向があるので、できれば試奏や返品条件の確認を。
中古相場とリセールの傾向
ギブソンは定番モデルの残価が強い。
エピフォンは購入しやすいぶん中古価格も穏やか。ただし、限定カラー/上位仕様/旧日本製などは評価が安定しやすいです。
サウンドの違いを聴き分ける

クリーン/クランチ/ハイゲインでのキャラクター
- クリーン:ギブソンは倍音の伸びと空気感、アタック後の余韻が豊か。エピフォンはまとまりが良く、録り音で扱いやすい。
- クランチ:ギブソンは和音の分離と太さが同居。エピフォンはコンプ感が心地よく、コードが崩れにくい。
- ハイゲイン:どちらも十分。ただしローの密度とピッキング追従はギブソンが一歩リード。
録音・ミックスでの聞こえ方(倍音・コンプ感・抜け)
ミックスに置くと、ギブソンの音は抜ける帯域が自然に出やすく、EQ処理が少なくて済む印象。
エピフォンは素直で加工耐性が高く、宅録で量産する人には扱いやすい利点があります。
アンプ・ペダル次第で埋まる差/埋まらない差
ペダルとIRでかなり近づきますが、立ち上がりの速さや余韻の質は楽器由来の差が残りがち。
ニュアンス命のプレイならギブソン、安定運用ならエピフォンが快適です。
仕様比較|木材・ネック・塗装・ハードウェア

木材(マホガニー/メイプルトップ/指板材)の傾向
両者とも基本設計は共通。
ただしギブソンはトップ材のフィギュアやマホガニーの密度で選別傾向が強く、結果としてサステインと倍音に差が出やすい。
エピフォンは重量・鳴りが安定し、ライブでの再現性に寄与します。
ネックシェイプ・スケール・フレット処理
’50s/’60sの握り、Slim Taperの取り回しなど選択肢は共通化。
フレット端の処理やナット溝の精度はギブソンに分があり、チューニング安定性が一歩上。
とはいえ、最新のエピフォンもここは大幅改善中。
塗装(ニトロ vs ポリ)と経年変化
ニトロは薄く、経年で鳴りが開く一方でデリケート。
ポリは外観維持が容易で、扱いが楽。
ヴィンテージ感を育てたいならギブソン、扱いやすい相棒ならエピフォン。
ハードウェア・電装(ピックアップ、配線、ポット値、コンデンサー)
ギブソンはCTSポットや高品位スイッチ等で耐久性と再現性を確保。エピフォンは近年のProBucker/新電装設計で音抜けを底上げ。必要に応じて電装換装でさらに化けます。
モデル別に見る違い(Les Paul / SG / ES)

Les Paul Standard(’50s/’60s) vs Epiphone Standard
厚みと艶はギブソンが優位。
エピフォンは軽量化・取り回しで実用的。
ハム換装+ポット値見直しで、ミックス内のトーンはかなり寄せられます。
SG Standard/Special の比較ポイント
SGは軽量・鋭いアタックが魅力。
ギブソンはローの芯とハイのスムーズさが際立ち、エピフォンは扱いやすいミドルでライブに強い。
ES-335/339:センターブロック・箱鳴りの差
箱物は木材と組み込み精度の差が音に出やすい領域。ギブソンは空間の奥行きが深く、エピフォンはフィードバック耐性と均質性で使いやすい。
用途・ジャンル別の選び方

はじめての1本/サブ機としての最適解
Epiphone Inspired by Gibsonで定番色を選べばまず失敗なし。チューニング安定と弾きやすさを優先。
ロック・ブルース・ジャズ・メタルでの向き不向き
- ロック/ブルース:どちらも◎。粘りとニュアンス追従はギブソン優位。
- ジャズ/ポップ:エピフォンのまとまりが便利。
- メタル/モダン:ピックアップ換装でエピフォンは化ける。ギブソンは低域の密度が頼もしい。
宅録・ライブ・スタジオで重視すべき要素
宅録は均質性、ライブはチューニング安定、スタジオは倍音の余裕。これを軸に選択を。
改造でどこまで近づける?費用対効果のリアル

換装で効くパーツ(ピックアップ/ポット/ナット/ブリッジ)
- ピックアップ:キャラが大きく変わる最重要。
- ポット/コンデンサー:ハイの抜けとボリューム追従を改善。
- ナット/ブリッジ:チューニング安定・倍音の質に効く。
それでも埋まらない差(材の鳴り・塗装・ネックジョイント)
塗装/木材/ジョイントの精度は楽器の骨格。
ここは改造で完全一致は難しく、ギブソンの“余裕”として残りやすいです。
総額いくらまで掛けるべきかの目安
本体+改造費の合計が上位機の中古価格を越えるなら、いったん立ち止まる。
目的(ライブ/録音/所有欲)に照らして判断を。
試奏&チェックリスト|失敗しない購入術

店頭での試奏手順(クリーン→クランチ→ハイゲイン)
- クリーンでコード/単音の伸びと分離。
- クランチでボリューム追従とピッキングニュアンス。
- ハイゲインでローの密度とノイズ。
同一アンプ設定でモデル間を差し替え、差を客観視します。
チェック項目(フレット端・ネックの反り・ノイズ・重量)
- フレット端/エッジの当たり
- ナット溝とチューニング安定
- ネックの反り/ねじれ
- 電装ノイズ(ピックアップ切替/ポットのガリ)
- 重量(肩/腰への負担)
ネット購入時の注意(返品条件・個体差・レビューの読み方)
返品/交換ポリシーを確認。レビューは音よりも仕上げ/重量/不具合情報を重視して読みます。
よくある質問(FAQ)

エピフォンは初心者向けだけ?中級者・プロ使用の実例
いいえ。現場のセカンド機や宅録の主力として使うプレイヤーは多いです。トラブルが少なく扱いやすいのが強み。
Gibson USAとGibson Custom Shopの違いは?
素材選別/手工工程/歴史的再現度の深さが異なります。
CSはロングテノン/年代別仕様の忠実再現など、トーンと作り込みに一層のこだわり。
Studio/Classic/Standard はどう選ぶ?
- Studio:機能重視/軽量で実用的。
- Classic:60s寄りのプレイアビリティ。
- Standard:王道スペックとリセールの安心。
日本製エピフォン/オービルは今どう評価?
時期や個体で差はありますが、仕上げの良さで一定の評価。状態と価格のバランスで吟味を。
まとめ|あなたに最適な一本はこれだ

タイプ別おすすめ早見表(予算×用途)
- 10万円前後・初めての一本:Epiphone Inspired by Gibson(LP/SG/ES定番)
- 20〜30万円台・メイン機:Gibson USA(Standard/SG Std/ES-339 など)
- 50万円〜・一生モノ:Gibson Custom Shop(ヒストリック系)
購入前の最終チェック3か条
- チューニング安定(ナット/ペグ/ブリッジの挙動)
- 重量/バランス(立ち/座りでの取り回し)
- あなたの手と耳が“好き”と言うか(直感を大切に)
長く付き合うためのメンテナンス基本
弦交換のルーティン化/指板保湿/適切な保管(湿度40〜60%)。
小さな積み重ねが鳴りの伸びにつながります。
最後に
「エピフォン ギブソン 違い」の答えは、“あなたがどんな現場で、何を大事にするか”で変わります。
コスパと安定運用を取るならエピフォン、質感と余裕ある倍音を求めるならギブソン。
どちらを選んでも、あなたの手が鳴らす音が最終解。
気持ちよく弾ける一本を、この記事のチェックポイントで見つけてください。