「街を歩けば美容室に当たる」と言われるほど、どこにでもある美容室。
ふと気づくと、同じ通りに何軒も並んでいたり、コンビニより目についたりすることもありますよね。
実は、美容室は全国に26万店舗以上存在し、その数はコンビニの約4倍以上にも及びます。
なぜここまで多くなったのか? この記事では、その背景と理由をわかりやすく解説していきます。
美容室は本当に多い?まずは数字で比較してみよう

街でよく見かける美容室ですが、実際にどのくらいの数があるのか、コンビニや電柱と比べながら視覚的に確認してみましょう。
日本全国の美容室の店舗数は?
2023年度時点で、日本全国にある美容室の数は約26万店舗。これは厚生労働省が公表しているデータに基づく正式な数字です。
一方、美容師として登録されている人の数は約55万人以上にもなります。
つまり、2人に1人がオーナー美容師という計算になります。
この数は、世界的に見ても非常に多く、美容室大国とも言える状況です。
コンビニ・電柱との比較で驚きの差が!
以下の比較を見れば、美容室の多さが一目瞭然です。
項目 | 数(全国) |
---|---|
美容室 | 約26万店舗 |
コンビニ | 約5.8万店舗 |
電柱(東京電力管内) | 約1,800万本 |
もちろん、電柱のようなインフラ設備と店舗数を単純比較することは難しいですが、生活動線の中で目につく存在としては、美容室は驚異的な密度であることは間違いありません。
なぜ美容室はこんなに増えたのか?5つの理由

美容室の数が増え続ける背景には、他の業種とは異なる特有の事情があります。5つの主な理由をわかりやすく解説します。
美容室がここまで増えたのには、いくつかの業界特有の背景があります。
1. 開業資金が比較的少なくて済むから
美容室は比較的小資本で開業できる業種です。飲食店のように厨房設備を整える必要がなく、中古のセット面やシャンプー台を使えば数百万円程度で開業可能です。
また、1人サロンやマンツーマン営業も可能なため、人件費を抑えて独立できるという点でも、参入ハードルが低いのが特徴です。
2. 独立志向が強い業界だから
美容師は国家資格であり、技術職としての自負や「自分のサロンを持ちたい」という夢を持つ人が多い業界です。
そのため、一定年数の勤務を経た後に独立を目指すケースが非常に多く、結果的に店舗数がどんどん増えていく構造になっています。
3. 個人経営が中心で自由に出店できる
美容室はフランチャイズよりも個人経営が圧倒的に多いです。
コンビニのように大手が出店管理をしているわけではなく、行政からの規制もほとんどないため、個人の判断で自由に開業・閉業ができるという特徴があります。
この「自由さ」こそが、店舗数の膨張につながっている要因でもあります。
4. 顧客争奪の中で増え続ける“分裂開業”
美容室業界では、人間関係や経営方針の違いなどから独立・分裂開業が多発します。
例えば、
- 売上をもっと自分でコントロールしたい
- オーナーと合わない
- 店の方向性が自分の理想と違う
といった理由で、スタッフが辞めてすぐ近所に新しい美容室をオープンすることはよくあります。
これが密集型サロン乱立の一因です。
5. 資格取得者数の増加と都市部偏重の実情
意外かもしれませんが、ここ数年の美容師免許の新規取得者数は微増傾向にあります。
- 年間の新規免許取得者数は17,000人〜18,000人で安定
- 美容専門学校の入学者数も2021年以降、回復傾向
特に東京・大阪・福岡など都市部への進学・就職志向が強いため、都市部ではサロンの開業・出店が集中しやすい構造があります。
実は減っている?地方では異なる現実も

都市部では増えている美容室も、地方では逆の現象が起きています。地域ごとの違いや現状について触れていきます。
地方では美容学校の閉校も増加
一方で、地方の実情はまったく異なります。
地方では少子化や進学者の減少により、美容専門学校の入学者数が激減しており、結果的に学校の閉鎖が増えています。
その影響で、美容師のなり手が足りず、人材確保に苦しむ地方サロンも少なくありません。
若者の都市集中と地域格差
地方の若者が都市部の有名校に進学し、そのまま都市で就職するパターンが定着しています。
これにより、地方ではサロンがあってもスタッフが確保できず、営業を縮小したり閉店したりするケースも増加傾向です。
つまり、都市部はサロンが過密・飽和状態である一方、地方は空洞化・人手不足に悩むという、二極化が進んでいるのが実情です。
まとめ|“多すぎる美容室”の背景には業界特有の事情があった

美容室の店舗数がコンビニより多いのは、「なんとなく」ではなく、以下のような構造的・文化的な理由が複雑に絡み合っている結果です。
- 開業しやすく、独立志向が高い業界構造
- 個人経営中心で出店が自由
- 人間関係や理念の違いからの分裂独立
- 都市部集中による密集状態
- 地方との構造的な地域格差
今後、人口減少・人材不足が進む中で、美容室の数も「質」へのシフトが求められるかもしれません。
あなたの街にある美容室が、なぜそこにあるのか?
背景を知ることで、日常が少しだけ面白く見えてくるかもしれませんね。