コンビニでふと手に取るレッドブル、あの小さな缶でどうしてあれだけ世界中に広がり、しかも高いまま売れ続けているのか気になっていませんか。レッドブルはなぜ儲かるのかを調べていると、レッドブルのビジネスモデルや収益構造、原価や広告費、マーケティング戦略、ブランド戦略まで気になるポイントがどんどん増えてくると思います。
レッドブルの売上規模がどれくらいなのか、レッドブルの利益率がなぜここまで高いと言われるのか、レッドブルの原価構造や価格戦略、さらにはモンスターエナジーとの違いなども、検索しているあなたの頭の中にいくつもクエスチョンマークが浮かんでいるはずです。「単価は高いのに、あまり値下げも見ない」「なのにどこに行っても売っている」……このあたり、かなり不思議ですよね。
私も経営やマーケティングの視点でレッドブルの収益構造を追いかけてきましたが、調べていくほど「単なるエナジードリンクの会社」という枠では語れない存在だと感じます。ファブレス経営によるコスト構造、メディア企業のようなマーケティング戦略、独自のブランド世界観など、レッドブルのビジネスモデルには学べる要素がかなり多いです。しかも、そのどれもが「儲かる仕組み」としっかりつながっています。
この記事では、レッドブルの売上規模や利益率といった数字のイメージから、ビジネスモデル、ファブレス経営、原価と価格の考え方、スポーツマーケティングやデジタル戦略、ブランド戦略まで、レッドブルはなぜ儲かるのかを一気に整理していきます。あなた自身のビジネスやキャリアにも応用できるように、できるだけわかりやすく噛み砕いて解説していきますね。「なんとなくすごい会社」ではなく、「こういう構造だから儲かっている」と言語化できるようにしていきましょう。
この記事4つのポイント
レッドブルはなぜ儲かる?その仕組を解説

まずは、レッドブルの売上規模や収益構造、ファブレス経営、原価と価格戦略といった「お金の流れ」に近い部分から整理していきます。ここを押さえておくと、レッドブルがどれくらいのスケールでビジネスを動かしているのか、どこでコストを抑え、どこに思い切って投資しているのかが見えてきます。ただ「売れているらしい」ではなく、ざっくりでも数字と構造を持ってイメージできると、なぜレッドブルは儲かるのかがグッと立体的に見えてきますよ。
レッドブルの売上と市場規模
レッドブルは世界160カ国以上で販売されているエナジードリンクブランドで、年間で見ても「数十億本」というケタの売上本数があります。エナジードリンクは日本だとまだニッチに見えるかもしれませんが、欧米やアジアの一部では「仕事前に1本」「スポーツ前に1本」といった感覚で日常的に飲まれていて、かなり存在感の大きいカテゴリーです。
公式情報では、2024年には世界で約126億7000万本のレッドブルが販売され、グループ全体の売上高は約112億ユーロとされています(出典:Red Bull公式Company Profile)。もちろん年によって数字は変わりますが、「10億本単位で動く世界規模のブランド」であることがイメージできると思います。
エナジードリンク市場自体も、この10〜20年で急成長してきた分野です。従来の栄養ドリンクが「疲れたときに飲むもの」だったのに対し、レッドブルをはじめとするエナジードリンクは「パフォーマンスを上げる」「テンションを上げる」といったポジティブなシーンを前面に押し出しました。その結果、若者やクリエイター、ゲーマー、スポーツ選手など、従来の栄養ドリンクとは違う層の需要を取り込むことに成功しています。
レッドブルが賢いのは、単に市場の成長に乗っただけではなく、「エナジードリンク」というカテゴリー自体を世の中に広める役割を果たしてきたところです。つまり、市場の成長「恩恵を受けた」のではなく、むしろ市場を作りながら伸びてきたと言ってもいいくらいです。これが、売上規模の大きさにもつながっています。
売上規模が大きくなればなるほど、同じ一本あたりの利益でもトータルの利益は大きくなります。レッドブルは、単に一本あたりの利益率が高いだけでなく、そもそも売れている本数自体が桁違いだからこそ、儲かる仕組みになっているわけですね。あなたのビジネスでも、「単価」だけでなく「数量」「リピート頻度」まで含めて売上の構造を分解してみると、レッドブルとの共通点が見えてくると思います。
レッドブルの売上規模をイメージするために、ざっくり構造を整理しておきます。
| 視点 | レッドブル | ポイント |
|---|---|---|
| 販売エリア | 世界160カ国以上 | 単一国ではなくグローバル分散 |
| 販売本数 | 年間100億本超 | 一本あたりの利益×膨大な数量 |
| カテゴリー | エナジードリンク | 成長市場の代表格のひとつ |
| ブランドポジション | プレミアム価格帯 | 「安さ」ではなく「価値」で勝負 |
※数字はイメージしやすくするための一般的な目安です。正確な数値は年度や資料によって異なります。
エナジードリンク市場は国や地域によって成長スピードが違いますが、共通しているのは「若者文化との相性の良さ」です。ナイトライフ、音楽、ストリートカルチャー、eスポーツなど、エナジードリンクと相性の良いシーンが増えるほど、市場も伸びやすくなります。あなたのビジネスでも、「自社のサービスと相性の良いシーンはどこか?」という視点で考えてみると、販売機会を広げるヒントが見つかりやすいですよ。
なお、ここで触れている販売本数や売上高のイメージは、あくまで公開情報をもとにした一般的な目安です。投資判断や事業計画に使う場合は、必ず最新の公式データや決算資料を確認し、専門家の意見も踏まえて判断するようにしてください。
レッドブルの利益率と収益性
レッドブルが「儲かっているブランド」として語られるとき、必ず話題に上がるのが高い利益率です。飲料ビジネスは一般的に、原価率も販管費もそこそこかかるので、利益率はそれほど高くないイメージを持っている人も多いと思います。ただ、レッドブルの場合は「原価率の低さ」「プレミアムな価格設定」「ブランド投資のリターン」が合わさることで、かなり高い収益性を実現しています。
まず、原価構造のざっくりとしたイメージからいきましょう。レッドブルのような炭酸飲料の場合、主な原価は「缶」「原材料(砂糖や香料・成分)」「物流コスト」などです。もちろん安いわけではありませんが、プレミアム価格帯で販売されるレッドブルの店頭価格に比べれば、一本あたりの原価は相対的に低くなります。そのぶん、粗利(売上−原価)の割合が比較的大きく取れる構造になっているわけです。
一方で、レッドブルはマーケティングやスポンサーシップにかなり思い切った投資をしています。F1チームの運営、サッカークラブの保有、エクストリームスポーツイベントの開催など、普通の飲料メーカーの「広告費」のイメージを大きく超える規模感です。ここだけ切り取ると「お金を使いすぎでは?」と感じるかもしれませんが、長期的に見るとブランド価値の積み上げにつながり、それがまた高い利益率を支えるという循環を作っています。
ざっくりPLイメージで見る収益性
レッドブルの利益率構造をイメージしやすくするために、「売上を100とした場合」のざっくりイメージを書いてみます(あくまで一般的なイメージです)。
| 項目 | 一般的な飲料メーカー | レッドブルのイメージ |
|---|---|---|
| 売上 | 100 | 100 |
| 原価 | 20〜30 | やや低め〜同程度 |
| 粗利 | 70〜80 | 70〜80(単価が高いぶん厚めになりやすい) |
| 広告・マーケ費 | 数〜10台前半 | かなり高めだが、ブランド投資として回収 |
| 営業利益 | 10前後 | 比較的高い水準になりやすい |
※あくまで構造をイメージするための例であり、実際の数字とは異なります。
ポイントは、レッドブルが「原価を極限まで削っているから儲かる」というより、ブランドへの投資を惜しまないのに、それでも十分な利益を確保できるだけの価格と規模を作ったというところです。価格を下げて数を売るのではなく、高価格帯を維持しながらブランドのファンを増やし、その結果として一本あたりの利益もトータルの利益も大きくしていく。かなり王道のプレミアム戦略ですよね。
もうひとつ重要なのが、「飲料の売上がメインである」という点です。F1チームやイベントでの収益もまったくないわけではありませんが、レッドブルのビジネスの中心はあくまで缶の販売です。イベントやスポーツへの投資は、単体で儲けるためというより、「飲料が売れ続けるためのブランド投資」として位置づけられています。これを理解しておくと、「どうしてこんなに派手なことをしているのに儲かるのか?」というモヤモヤがスッと解消されると思います。
ここで触れている利益率や原価比率などの数字は、公開情報や各種解説の「一般的な目安」をベースにしたイメージです。実際の数値は年度や為替、会計基準などによって変動します。特に、決算数値や投資判断に関わる部分については、必ず公式の決算資料や信頼できる統計データを確認し、最終的な判断は公認会計士や専門家に相談するようにしてください。
あなたのビジネスに当てはめるなら、「原価率を何%まで下げるか」という発想よりも、「粗利をブランドやサービス価値の向上にどれだけ再投資できるか」を考えたほうが、長期的な利益率は確保しやすくなります。レッドブルはその好例で、「高い利益率」と「派手なマーケティング」が矛盾していない、むしろ両立していることを教えてくれますよ。
レッドブルのビジネスモデル解説
レッドブルのビジネスモデルを一言でまとめるなら、「製造は外部に任せ、自社はブランドとマーケティングに集中するエナジードリンクカンパニー」です。飲料メーカーというより、もはや「ブランド企業」「メディア企業」に近い動きをしているのが面白いところです。ここでは、レッドブルのビジネスモデルをもう少し分解して見ていきます。
製造とブランドの役割分担
多くの飲料メーカーは、自社で工場を持ち、原材料の調達から製造、物流までを自前で抱えます。一方レッドブルは、飲料の製造や物流を専門とするパートナー企業に委託し、レシピや品質基準はしっかり押さえつつ、実際の生産オペレーションは外部の力を活用しています。
この構造によって、レッドブルは巨大な設備投資や工場運営コストを抑えつつ、世界各地で安定して商品を供給できるようにしています。自社は「何をどう売るのか(ブランド・マーケティング)」に集中し、製造のプロは「どう効率よく安全に作るか」に集中する。それぞれの得意分野を活かす分業モデルですね。
「飲料×メディア」のハイブリッドモデル
レッドブルのビジネスモデルのもうひとつの特徴は、「飲料ビジネスとメディアビジネスがセットになっていること」です。F1やサッカー、エクストリームスポーツ、音楽、ダンス、eスポーツなど、多様なジャンルでイベントやコンテンツを展開し、それ自体がひとつのメディアネットワークのように機能しています。
重要なのは、ここで作られている動画や記事、イベントの体験が、そのままレッドブルというブランドを語るストーリーになっている点です。広告枠を買って「飲んでね」と言うのではなく、自前のコンテンツとイベントで「ブランドの世界観」を見せ続ける。これが、レッドブルのビジネスモデルを他社と大きく差別化しているポイントです。
レッドブルのビジネスモデルのポイントを整理すると、次の3つになります。
この考え方は、中小企業や個人ビジネスにも応用できます。全部を自社で抱え込むのではなく、製造やオペレーションはパートナーに任せて、自分は「顧客価値とブランドをどう作るか」に集中するやり方です。「何を自社に残し、何を外に出すか」を整理していくと、レッドブル的な軽やかさが少しずつ取り入れられます。
より広い視点でビジネスを学びたい場合は、経営者として必要なスキルをまとめた経営者になるには何が必要かを整理した解説も参考になると思います。レッドブルのような企業を眺めつつ、自分ならどんなビジネスモデルを描くかを考えてみると、かなり良いトレーニングになりますよ。
レッドブルのファブレス経営とは
ファブレス経営とは、「工場(ファブ)を持たずにビジネスを行うモデル」のことです。もともとは半導体業界でよく使われる言葉ですが、レッドブルのように飲料でもファブレスに近い構造を取る企業が増えてきています。レッドブルはまさにその代表例で、自社で巨大な飲料工場を建てるのではなく、信頼できる製造パートナーと組むことで世界中に商品を届けています。
ファブレス経営を採用すると、自社は「何を作るか」「どんなブランドにするか」「どこにどう売るか」といった上流の設計に集中できます。逆に、「どう効率的に生産するか」「どのラインをどの配合に割り当てるか」といった工場運営の悩みからはある程度解放されます。この役割分担が、レッドブルのスピード感と柔軟性につながっているんですよね。
ファブレス経営のメリット
- 工場建設や設備更新などの巨額投資を抑えられる
- 需要変動に応じて生産量を柔軟に調整しやすい
- 自社はマーケティングや商品企画など、付加価値の高い領域に集中できる
- 生産拠点を複数の国・地域に分散しやすく、リスクヘッジになる
ファブレス経営のリスク
- 製造パートナーに大きく依存するため、関係性の維持が重要
- 品質トラブルが起きたときの影響範囲が大きい
- 自社で製造ノウハウを持ちにくくなる
- 原材料価格の変動や物流コストの高騰に対して、交渉力が弱くなる可能性がある
ファブレス=ラクというわけではなく、「どこまでをパートナーに任せ、どこからを自社の責任範囲にするか」を設計する力がかなり大事になってきます。契約や品質基準、情報共有のプロセスなど、目に見えにくいところにこそ経営の腕の見せどころがあります。
ファブレス経営は「工場を持たない=リスクがない」という意味ではありません。むしろ、パートナー選びや契約、品質管理の仕組みづくりなど、別の種類の経営スキルが求められます。自社で真似する場合は、メリットだけでなくデメリットも含めて慎重に検討してください。また、食品・飲料分野では各国の法規制や安全基準も絡むため、法務や品質保証の専門家と相談しながら進めることをおすすめします。
あなた自身のビジネスでも、「全部自前でやる前提になっていないか?」と一度立ち止まってみると、レッドブルのように身軽なモデルに近づけるヒントが見えてきます。製造だけでなく、ECの物流やシステム開発、経理なども、ファブレス的な発想で外部パートナーと組む余地があるかもしれません。
レッドブルの原価と価格戦略
レッドブルが儲かる理由としてよく話題に上がるのが、「原価に対して販売価格が高い」という点です。缶や原材料のコストに比べて店頭価格が高めに設定されているため、一本あたりの粗利は比較的大きくなります。「レッドブルって小さいのに高いよね」と感じたことがある人も多いと思いますが、その「小さくて高い」がまさにビジネスモデルの肝になっています。
とはいえ、レッドブルが高価格戦略に振り切れているのは、単に原価が安いからではなく、「ブランド価値と提供体験で価格を正当化できているから」です。コンビニで他の飲料より高くても、「ここぞというときの一本」として選ばれるポジションを獲得できているわけですね。ここには、心理的な価格設定(プライシング)の工夫もかなり効いています。
価格戦略のポイント
レッドブルの価格帯は、「毎日ガブガブ飲む」というより、「ここ一番のタイミングで選ぶ」ポジションにあります。徹夜での作業、イベント前、スポーツ前、ドライブ中など、少しテンションを上げたい瞬間に指名されるイメージですね。この「シーンとの結びつき」が強いほど、高価格でも選んでもらいやすくなります。
価格を下げてシェアを取りに行くのではなく、プレミアム価格を維持しつつファンを増やしていく戦略は、多くのスモールビジネスにも応用できます。安売り路線に行く前に、「なぜこの価格に見合う価値があるのか?」「どんなシーンで選ばれる商品なのか?」を言語化してみるのはかなりおすすめです。
なお、原価や価格に関する具体的な数値は、年や国、販売チャネルによって変動します。ここでお伝えしているのはあくまで構造の話であって、「絶対にこの数字になる」というものではありません。正確な金額を前提に意思決定する場合は、レッドブルの公式情報や各国の税金・物流コストなども含めて、専門家と一緒に検討するようにしてください。
また、エナジードリンクはカフェインなどの成分を含むため、健康面への配慮も非常に重要です。ビジネスの観点から仕組みを学ぶのは良いことですが、実際の飲用に関しては、年齢や体質、医師からの指示などを踏まえたうえで、過剰摂取を避けることが大切です。健康に関わる情報は、厚生労働省や各国の公的機関、医療専門家の情報もあわせて確認し、心配な場合は必ず医師に相談してください。
レッドブルはなぜ儲かる?その戦略に迫る

ここからは、レッドブルのマーケティング戦略やスポンサーシップ、ブランド戦略、デジタルマーケティングにフォーカスしていきます。レッドブルはなぜ儲かるのかという問いに対して、「ブランドと世界観をどう作ってきたのか」という視点で見ていくパートですね。売上や利益の裏側には、かなり緻密に設計された「世界観づくり」と「ファンづくり」が存在します。
あなた自身のビジネスでも、「広告費をどう使うか」「どのチャネルに出すか」以前に、「どんな世界観を伝えたいのか」「誰に刺さるブランドになりたいのか」といった問いがすごく大事になります。レッドブルの事例を見ていくと、そのあたりのヒントがかなり見えてくるはずです。
レッドブルのマーケティング全体像
レッドブルのマーケティング戦略は、一言でいえば「ブランドの世界観を先に作り、その世界に人を招き入れる」スタイルです。テレビCMだけで大量露出するのではなく、スポーツや音楽イベント、映像コンテンツなどを通じて、ブランドイメージをじわじわ浸透させていきました。あなたも、F1やエクストリームスポーツの映像でレッドブルのロゴを見たことが一度はあるんじゃないでしょうか。
特に象徴的なのが、「エナジードリンク」というカテゴリー自体を作り出したことです。それまで「栄養ドリンク」と呼ばれていた領域に対し、レッドブルは「テンションを上げる」「チャレンジを後押しする」というポジティブなイメージを乗せ、「新しいカテゴリの主役」としてポジションを取っていきました。カテゴリーの言語づけから変えてしまったわけですね。
レッドブルのマーケ戦略を3層で整理
レッドブルのマーケティング全体像は、ざっくり次の3層構造で考えると整理しやすいです。
- 商品:小さな缶とエナジードリンクというシンプルな商品
- 体験:イベント、スポーツ、音楽、ナイトライフなどの体験設計
- 世界観:挑戦、スピード、若さ、限界突破といった価値観の発信
この三層が揃っているからこそ、レッドブルのマーケティング戦略は「広告費が高いのに、それでも割が合うビジネス」として成立しています。単純に「たくさん露出したから売れた」という話ではなく、「世界観に共感した人がファンになり、その人たちが継続的に指名買いしてくれる」という構造ができているわけです。
営業の現場でどう価値を伝えるかという視点は、営業職のリアルを深掘りした営業ってそんなに偉いの?花形と言われる理由と裏側のリアルとも通じるところがあります。「商品スペックを説明する」のではなく、「このブランドを選ぶことでどんなストーリーの一部になれるのか」を語れるかどうかが、レッドブルのようなブランドを作るうえではかなり重要になってきます。
レッドブルのスポーツマーケティング
レッドブルのスポーツマーケティングは、他社と比べてもかなり踏み込み方が違います。単にイベントやチームの「スポンサーになる」だけでなく、自社でF1チームを持ったり、サッカークラブを保有したり、エクストリームスポーツイベントを主催したりと、スポーツビジネスのプレイヤーそのものになっているのが特徴です。
これによって、ロゴ露出の量だけでなく、「ファンが熱狂する瞬間」にレッドブルが必ず映り込む設計になっています。優勝シーン、超人的なチャレンジ、高度なトリックが決まる瞬間など、「人が感情的に揺さぶられる場面」に常にレッドブルのロゴやカラーが重なるわけですね。ファンの記憶の中で、「感動した瞬間」と「レッドブル」がセットで残り続けるようなイメージです。
スポーツマーケティングでよく見られるレッドブルの関わり方の例です。
- F1チームの運営(レッドブル・レーシングなど)
- サッカークラブの保有(RBライプツィヒなど海外クラブ)
- レッドブルエアレースなどのエアスポーツイベント
- BMX、スケートボード、スノーボードなどのエクストリームスポーツ大会
どれも「スピード」「挑戦」「限界突破」といったブランドの世界観と直結する競技やイベントばかりです。単に人の多いスポーツにお金を出すのではなく、「世界観との一致度」を重視しているのがよく分かります。
こうした取り組みは、短期的な売上だけを見ればコスパが良いとは言い切れません。それでも続けているのは、「ブランド価値が積み上がるほど、長期的な利益率が上がる」という前提に立っているからです。スポーツの世界で積み上げた「挑戦の象徴」というポジションが、最終的にはコンビニでの一本の選択につながっていきます。
あなたのビジネスでも、必ずしもスポーツである必要はありませんが、「どのコミュニティやカルチャーと深く結びつくか」を決めてしまうのはかなり有効です。表面的なスポンサーではなく、コミュニティの一員として関わることで、レッドブルのような強いブランド体験に近づけます。
レッドブルのスポンサー戦略の狙い
レッドブルのスポンサー戦略は、「誰にどう刺さるのか」をかなりはっきり決めているのがポイントです。すべての人に好かれようとするのではなく、熱狂的なファンになってくれる一部の層に深く刺さることを狙っています。結果として、「レッドブルが好きな人は、とことん好き」という状態が生まれやすくなります。
例えば、エクストリームスポーツやモータースポーツ、音楽フェスなどは、ファンの熱量が非常に高いジャンルです。ここでブランドとして強く印象に残れば、その人たちは日常のコンビニでも自然とレッドブルを選ぶようになっていきます。「あの時の興奮をもう一度」とまでは言わなくても、ポジティブな体験の記憶がレッドブルの缶とリンクしているわけですね。
レッドブルのスポンサー戦略の特徴をまとめると、次のようになります。
この考え方は、限られた予算でマーケティングをする中小企業にもかなり参考になります。「誰でもいいから来てください」ではなく、「この人たちにとって一番のブランドになる」と決めたほうが、結果的に費用対効果が良くなるケースも多いです。あなたのビジネスでも、「うちのブランドを一番応援してくれそうな人って誰だろう?」と考えてみると、スポンサーやコラボ先の選び方が変わってくるはずです。
レッドブルのブランド戦略と世界観
レッドブルは、商品そのもの以上に「世界観」を売っているブランドです。挑戦、速度、若さ、限界突破、自分をプッシュする感覚……こうしたキーワードが、イベントや映像、広告コピー、スポーツの選定など、あらゆる接点に一貫して流れています。「レッドブルといえば何?」と聞かれたとき、多くの人が「翼をさずける」「チャレンジ」「F1」といったイメージを思い浮かべるのは、この世界観の積み上げの結果です。
この世界観の一貫性こそが、レッドブルのブランド戦略の中心です。缶のデザイン、カラーリング、フォント、イベントのトーン、アスリートのキャスティングなど、細かな部分まで「レッドブルらしさ」が徹底されています。中途半端にターゲットを広げるのではなく、「レッドブルの世界観に共感する人」にきちんと刺さる方向に振り切っているんですよね。
結果として、たとえエナジードリンク市場に模倣商品が増えても、「レッドブルのクローン」になりきれるブランドは出てきません。味や成分が似ていても、世界観のコピーはできないからです。これはどの業界にも通じる話で、「スペックは真似できるが、世界観は真似しづらい」という構造が常にあります。
自分のビジネスでも、「商品・サービスのスペック」だけでなく、「どんな世界観を提供したいのか」を言語化しておくと、ブランディングがかなり楽になります。世界観が決まると、価格、販路、広告のトーン、SNSの発信までブレにくくなります。逆に世界観があいまいだと、その場その場で打ち手がバラバラになり、長期的なブランド価値が積み上がりづらくなってしまうんですよね。
あなたも、自分のビジネスやキャリアについて「3つのキーワード」で世界観を表現するとしたら何か?を一度書き出してみると、レッドブルのブランド戦略がぐっと身近に感じられると思います。
レッドブルのデジタルマーケ戦略
レッドブルは、デジタルマーケティングでも「メディア企業的な動き」をしています。公式サイトやYouTubeチャンネル、SNSアカウントでは、単に商品情報を出すのではなく、アスリートのドキュメンタリーやイベントのハイライト、挑戦の裏側を描いたコンテンツを大量に発信しています。「レッドブルの動画が普通に面白いから、気づいたら見ちゃう」という人も多いはずです。
ここでのポイントは、「飲料の広告」ではなく「コンテンツとして面白いか」を軸にしているところです。視聴者にとって価値がある動画や記事だからこそ、自然にシェアされ、結果的にレッドブルのブランドイメージが広がっていきます。コンテンツとしてのクオリティを優先するからこそ、「広告感」が薄まり、好意的に受け取られやすいんですよね。
中小ビジネスが真似しやすいポイント
- 商品紹介ではなく、「使っている人のストーリー」を中心にコンテンツを作る
- SNSでは売り込み一辺倒にならず、「見て楽しい・学べる」投稿を混ぜる
- ターゲットの世界観に合うプラットフォーム(YouTube、TikTok、Instagramなど)を選ぶ
- コンテンツのテーマを「自社の世界観」に紐づけて一貫性を出す
いきなりレッドブルのような大規模な映像制作を真似する必要はありません。「日常の中の小さなストーリー」をスマホで切り取って発信するだけでも、世界観は十分伝わります。大事なのは、スペックを説明すること以上に、「このブランドと関わると、こんな気持ちになれる」という部分を見せることです。
もちろん、レッドブルのような規模でコンテンツ制作をするのは現実的ではありません。それでも、「自社がどんな世界観を届けたいのか」を軸に、小さくデジタル施策を回していくことは十分可能です。最初から完璧な動画や記事を作る必要はないので、まずはSNSでの発信から、レッドブル的な視点を少しずつ取り入れてみるといいかなと思います。
レッドブルの利益率となぜ儲かる総括
ここまで見てきたように、レッドブルはなぜ儲かるのかという問いに対する答えは、「原価が安いから」だけでは全く足りません。ファブレス経営によるコスト構造、プレミアムな価格戦略、スポーツや音楽を軸にしたマーケティング、そして世界観の一貫したブランド戦略が組み合わさって、初めて今の利益率が成立しています。
レッドブルはなぜ儲かるのかを自分のビジネスに引き寄せて考えるなら、次の問いを持ってみるのがおすすめです。
- 自分のビジネスで「外注できる部分」と「自社でしかできない部分」はどこか
- 価格を上げても選ばれるだけのブランド価値や体験を作れているか
- 誰に一番深く刺さるブランドになりたいのか
- SNSやコンテンツで「世界観」を伝える工夫ができているか
レッドブルは、単なるエナジードリンクではなく「挑戦の象徴」として世界中に浸透したブランドです。その結果として、多少高くても選ばれ続け、広告費をかけても十分な利益が残るビジネスモデルが成立しています。ここまでの話を一言でまとめると、「レッドブルは『儲かる仕組み』と『愛される世界観』の両方を同時に設計してきたブランド」と言えるかなと思います。
本記事で紹介した売上規模や原価、利益率などの数値や事例は、あくまで一般的な目安や公開情報をもとにした解説です。投資判断や価格設定など、実務的な意思決定を行う際は、必ず最新の公式情報や専門書、決算資料などを確認し、最終的な判断は公認会計士や中小企業診断士、弁護士などの専門家に相談するようにしてください。また、エナジードリンクの摂取に関して健康上の不安がある場合は、医師など医療の専門家に必ず相談するようにしましょう。
レッドブルのようなグローバルブランドの事例はスケールが大きくて現実味が薄く感じるかもしれませんが、ビジネスモデルの考え方や、世界観を軸にしたマーケティングの設計は、中小ビジネスや個人事業にもそのまま応用できます。今日からできる一歩として、自分のビジネスの「儲かる仕組み」をレッドブルにならって書き出してみるのも面白いと思いますよ。「原価はいくらで、どこで価値が生まれていて、何に再投資しているのか?」を一度整理してみると、次に打つべき手がかなりクリアになってくるはずです。


